What is endoscopy 内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)とは

がん死亡者数

 厚生労働省の統計によると、2023年(令和5年)の日本人の死因として最も多かった原因は、がん(悪性新生物)で、その中でも消化管がんが一番多くなっています。
 がんは、1981年(昭和56年)から40年以上、ずっと日本人の死因の第1位となっています。また、「国立がん研究センターがん情報サービス」のがん統計によると、日本人ががんで死亡する確率(2023年のデータに基づく)は、男性の4人に1人、女性の6人に1人となっています。日本人が一生のうちにがんと診断される確率は2人に1人というデータ(2020年のデータに基づく)もあり、がんは誰もがかかってしまう可能性のある病気だと考えられています。
 しかし、がんは、早期治療によって死亡率を低下させられることが、これまでに行われてきた研究から明らかになっています。また、がん検診でがんが発見された場合は、癌の進行度合い(ステージ)によって、5年後の生存率が高いという調査結果も報告されています。

日本でのがん死亡者の内訳を表したグラフ

ステージ別の5年生存率

  • 日本でのステージ別の5年生存率を表したグラフ

 消化器がんを早期に発見するためには、定期的な検診が欠かせません。多くの方が年に一度、職場や学校、医療機関などで健康診断を受けています。一般的な健康診断は、特定の病気に限定せず、全身の健康状態を確認することを目的としています。
 一方で、職場健診の一部や「がん検診」は、特定の疾患を重点的に調べるものです。がんの早期発見には、こうした「がん検診」を定期的に受診することが重要です。特に、内視鏡検査は消化器がんの確定診断が可能な唯一の検査方法です。なお、がんの種類によって適切な受診間隔が異なるため、自身に合った頻度での検診を心がけましょう。

  • 治療経過

消化器がんの主な検診方法と推奨される頻度

がんの種類 主な検診方法 推奨される受診間隔
胃がん

胃内視鏡検査(胃カメラ)、バリウム検査

50歳以上は2年に1回(内視鏡が推奨)

大腸がん 便潜血検査、大腸内視鏡検査

40歳以上は年1回(便潜血検査)、陽性なら内視鏡

食道がん 内視鏡検査 高リスクな人は1~2年に1回
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内視鏡検査とは

 内視鏡検査とは、先端に小型カメラ (CCD) またはレンズを内蔵した太さ1cm程の細長い管を口あるいは肛門より挿入し、食道、胃、十二指腸や大腸の内部を観察し、時には治療を行うものです。医療機器や技術の発達により応用範囲も広がり、診断から治療までスムーズに行われるようになってきました。
(日本消化器内視鏡学会 内視鏡検査と内視鏡治療のご説明 から引用)

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

 上部消化管内視鏡検査では、食道・胃・十二指腸などの消化管の上部を観察します。検査の際は、細いカメラがついた管(内視鏡)を 口または鼻から挿入 し、内部の様子を確認します。内視鏡が通るルートにある 食道・胃・十二指腸の状態も一緒に調べることが一般的です。 以下は、検査の過程で疑われる主な病気の一覧です。

食道
食道がん、逆流性食道炎、ポリープ、食道静脈瘤など
胃がん、胃炎、胃潰瘍、ポリープなど
十二指腸
十二指腸がん、十二指腸潰瘍、ポリープなど

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

 大腸内視鏡検査(大腸カメラ) では、大腸の内部を直接観察します。
細長いカメラ付きの管(内視鏡)を 肛門から挿入 し、大腸の 全体(直腸・結腸)を詳しく調べます。
この検査により、ポリープ・炎症・がんなどの異常を発見 できます。必要に応じて、その場で ポリープを切除したり、組織を採取して詳しく調べたりすることもあります。以下は、検査の過程で疑われる主な病気の一覧です。

大腸
大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など) 

内視鏡検査の課題

 食道・胃~大腸・肛門に至る消化管のがんは、全がん死亡者の約3割を占め、最も死亡者数の多いがんとなっています。がんで死亡する原因は、早期でがんが発見されないためです。
 
 内視鏡検査は、唯一消化管のがんを早期に確定診断できる検査ですが、どうしても人の目でみるため、早期胃がんの2割程度は見逃されている可能性があるという報告があります。
 

 精度の高い検査のために注目されているのが、内視鏡AIを使用した内視鏡検査です。

日本でのがん死亡者の内訳を表したグラフ

精度の高い検査をするためには

内視鏡AIとは